自閉スペクトラム症 AUTISM SPECTRUM DISORDER
発達障がいのひとつ
自閉スペクトラム症(ASD)とは、注意欠如・多動性障害(ADHD)や学習障害と同じ発達障がいのひとつです。なお発達障がいは病気ではなく、生まれつきの特性であるとされており、脳機能の発達のアンバランスさ(認知機能に偏りがあること)に原因があると考えられています。そのため特定のことについては非常に優れた能力を発揮することがあれば、ある分野に関しては極端に苦手ということがみられます。
発達障がいの症状は小児の時期から見られます。多少の得手不得手はどんな子どもにもあるものですが、日常生活に支障をきたし、ご本人や周囲が困ってしまうほど発達の凸凹の程度が大きいことが特徴です。
自閉スペクトラム症(ASD)とは
自閉スペクトラム症(ASD)とは、以前は「広汎性発達障がい」や「アスペルガー症候群」と呼ばれていたそれぞれの障害をまとめて一本化した呼び名になります。
よく見られる症状としては、人の気持ちを理解するのが苦手、冗談や比喩が理解できない、興味のあることを一方的に話し続ける、非言語的なサイン(表情・目配せなど)を読み取れないといったコミュニケーションおよび対人関係の障害のほか、日課・習慣の変化や予定の変更に弱い、特定の物事に強いこだわりがあるなどの同一性へのこだわりや興味・関心の狭さなどが挙げられます。そのため、コミュニケーションや社会性といった部分に関連する脳の働きに、発達の過程で障がいが出ている状態ではないかと考えられます。
なおASDの兆候は1歳を過ぎた頃から出始めるとされ、この時点で「人の目を見ることが少ない」「指さしをしない」「他の子どもに関心が無い」などの様子が見られます。対人関係に関連するこのような行動は、通常の子どもであれば急に伸びるものですが、自閉スペクトラム症の子どもでは明確な変化が現れません。
そして思春期や青年期になると、自分と他者との違いに気づいたり、対人関係がうまくいかないことに悩み、不安・うつ症状を合併させてしまうこともあります。また、ADHDが併存する場合も多く、これらの合併症には治療が必要となります。